2019/10/14 17:09

冷たい雨と悲しいニュースの方が多いことに気が滅入ります

今年は随分と遅れてようやく、金木犀の香りが漂い始めました。

厳しい自然と隣合わせに生きた、遊牧の民の手仕事より。
ペルシア(現イラン)南西部、カシュガイ族による 20c初頭 - 中頃 のトライバルラグを。



本来は チュアル と呼ばれる収納袋、もしくは ヤストゥック(枕)   だったと思しき袋状のものが、
時を経て織り込みの美しいパイル織部分のみが切り取られ、今に伝わったものかと察します。
そのため、全体的にはパイル織ですが、裏面につながっていたであろう両端はジジム織となっています。
切りっ放しの状態では緯糸がどんどんほつれてきてしまうため、
両端のエルベリンデ(地母神)の面影をなるべく残しつつ
私の方で蝋引きの麻糸でまつり縫いし補修したもの。

モチーフから紐解いてみますと、中央にはまるで折り鶴のような鳥(自由や幸せ)、
その周りには生命樹やS(邪視除けの鍵文)があちこちに散りばめられて
さらにその周囲をベレケット(豊穣)で取り囲み、両端にはエルベリンデ
端を縫っていて見つけた◇(魔除けの護符)も。

身を守る為の情報も術も少なかった時代に生きた民の、切なる願いや祈りが端々に
豊かな手仕事により織り込められています。

● トライバルラグ S / カシュガイ族 

ペルシア(現イラン)
20c初頭 - 中頃
size W82.5(82) × L85(82) cm  (左右上下でサイズが若干異なります、遊牧しながら織り上げた証、とご容赦を頂ける方に)
経緯共に羊毛
* 経年と使用で所々のパイルが抜けています
** 古い時代のウールは油分が落ち着いている為、真夏でも麻のようにサラッとした肌触りですが、
万が一目に暑くなって来て仕舞われる折は陰干しした後に防虫剤などと一緒に保管されることをおすすめします。

モチーフや状態は詳細画像にてご参照いただけます。 ↓


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