● インド更紗 地白苺手 / 袋物 - 紙入れ
¥29,700 税込
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発色(定着)のし難い 木綿 に赤をはじめとした 媒染(*1) による紋様染の技法をいち早く見出し世界中を魅了した染織裂 インド更紗
こちらはヨーロッパ諸国による東インド会社統治時代(〜1833)に
日本を含む世界各国の好みのモチーフで染められ輸出向けにと作られたインド更紗の一部と思しき古裂が用いられたお品。
苺手(いちごで) と呼ばれる小花の連続紋様が細番手の木綿に木版捺染された更紗です。(木版型の目跡を追うのもまたたのしみのひとつ)
→ 画像10枚目は同手の紋様の更紗(こちらよりももうひと世代前の17-18c)を参考図版としてお借りしております(2008年開催/古渡り更紗 : 五島美術館展覧会図録より)
日本で政府による初の全国共通の 紙幣 が発行された慶応4年(1868)明治時代以降、
こうした 紙入れ と呼ばれる作りの袋物が
袋物商により取り合わせられた素材(日本、諸国問わずに当時憧れだったろう希少素材)を用い、袋物師の手で仕立てられ、今に残ります。
こちらはおそらくそのサイズ感と作りから、
紙幣も入れられかつ、身だしなみのための小物(や嗜好品)などの用にと仕立てられた袋物。
(面取りされた手鏡が縫い留められています)
当時の使い手、相当お気に召していたようで布地の全体に使用と経年による古色、
隅の数箇所には擦れなども見受けられますが、(ここは個人差があるかと思いますが)まだまだ実用に耐えうるものと思います。
前金具が損なわれておりましたため、こちらの更紗に雰囲気の合う前金具を探されるか
あるいは帯留めなどを転用し、見立ての前金具を縫い付けられても素敵かと思います。
* 前金具が取り外された折に、仕立ての接着が一部剥がれております(それによる表地へのダメージは見られませんのでご安心ください)こちらで付けてしまうとこの先、前金具を取り付ける際にまた剥がさねばならないと思いそのまま(剥がれたまま)にしてございます。
次なる担い手の方好みの取り合わせを、お愉しみいただける方に。
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● インド更紗 地白苺手 / 袋物 - 紙入れ
表布
インド
19c(初頭から中頃)
木版捺染更紗
天然染料 藍(元々薄い浅葱色だったようです)、茜
お仕立ては日本
スナップボタン開閉(凸の箇所の更紗の用い方に袋師の美意識を感じました)
裏布は絹(塩瀬)
(仕立てには一部(スナップボタンの箇所)はミシンが用いられています=おそらく明治後期-大正時代 19c末-20c初頭ごろ)
約 W21.3 D14 H2 cm
(状態などは画像をよくよくご覧くださいませ、他に必要な画像がございましたらお申し付けください。)
* 画像のお色味は 1-5 が現物により近いかと思います
実店舗にて直接ご覧頂けます
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(*1) 捺染 とは
こちらのインド更紗は 木版捺染 と呼ばれる技法により文様が染め出されたものとなります。
地となる木綿はそのまま染料となる植物染料で文様を描いても定着せず水などで流れ落ちてしまうため、先ず初めにミロバランの実(タンニン酸)と水牛のミルク(動物性たんぱく質)を用いて下染処理を施します。
次の工程は天然染料染で染色を施すのですが、まだ直接紋様は描けません
ここからは科学反応の世界です。
この場合ですと、インド茜を煮出した液に浸し染めした時に 黒 と 赤 の文様を残したい箇所 に先ずは 木版(あるいは金型)でそれぞれを押し描き、それからようやくインド茜の染液で浸し染に入ります。
鉄塩 = 茜に反応して黒いラインとなっています
明礬(ミョウバン)= 茜に反応して赤い花文様となっています
浸し染することでインド茜の染料が媒染剤に反応し、それぞれ黒と赤に発色し定着します。
更に、青の文様は(藍染したく無い箇所)を先ずは全て刷毛又は木型などで蠟防染した後に藍液に浸す(あるいは藍をひく)のです。
(先ほど茜染して仕上がった箇所も全て伏せます。)
それが終わったら蠟を取り除きます。
最後に、白い下地に残った茜の染料を、牛糞を溶かしたアンモニア成分の中で何度も洗う工程を経てそうしてようやく完成します。
——— 参考文献 ———
五島美術館展覧会図録 古渡り更紗
京都書院 世界の更紗
染織工程だけでも気の遠くなる作業の繰り返し、今の時代よりもっと緩やかでそして豊かな時間を感じます。
PS:これはインド更紗だけに限らないことなのですが、
私たちよりも永くこの世に在るものが、私たちと同じ人間の手によりそれぞれの生活様式の中、必要に応じて祈りや願い
そして用と美しさとと共に作り出されていたことが素晴らしいと思う次第です、
何より国も時代も宗教概念も超えて、根本で心が動くことが純粋に喜びの一つです。
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