山の民の盾 Kalasag / ルソン島 イフガオ族
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王冠のように切り込まれ
中央にはなだらかなお山のようなふくらみを持つ一木造りの、
上下の要所にはラタンで補強の編み込みがなされた盾のご紹介を。
身の回りに有ったであろう自然界からの頂き物だけで
こんな美しいフォルムを作り出せる民が存在したことを、
作り用いた民の来た道、文化や風習へとこの盾にいざなっていただきました。
ルソン島北部(フィリピン)の山岳地帯では20c中頃まで、
かつて台湾から海を渡ったとされる先住民族により
祖霊崇拝、豊穣、種族繁栄、呪術 などの意味合いで首刈りの風習が有った地の1つ。
(決して現代の戦争のように無闇やたらに無差別に命を奪うものでは無かったようですが、お嫌でしたら無理に読み進められませんよう、この風習が無ければ生まれ得なかった形ですから歴史的背景としてお伝えさせていただきます。)
西欧諸国からの植民地化の後は外部からの侵略者に備えての闘争も有ったことでしょう。
王冠のようなギザギザは闘いの折には相手の足を、
1つのくぼみの方は首を固定するための意を持って作られた必然の形でした。
大きく育った南洋材の1木から削り出されたその盾は
経年で既に乾燥し切ってコルク材かのごとく軽くなっています。
(通常のプッシュピン1本で壁に掛けられるくらいの軽ろやかさ)
補強と装飾も兼ねたラタン編みもルソン島の先住民族らしさが映し出されています
(かつてはラタン編みの籠を携え木彫品の食器や調度品を自らこしらえて暮らした民)
黒く煤けた古色は、日本のかつての山間部同様、煮炊きは囲炉裏で行われたのでしょうか。
中央のふくらみにも用いる上での意味がちゃんとありました。
裏側から見ますと、手を添える箇所がくり抜かれています。
持ち手を後付けするのではなく、くり抜くことで材の強度も保ちつつ
厚みを持たせることで保身の役割も担った形。
(原始的な造作ですのに結果的に用に沿ったそのフォルムの美しさったら)
時代と共に世代も移ろって生活様式が変わりゆくと共に
保身を盾に頼る必要もなくなって
首刈りの風習もより表面的な儀式へと形を変えたようです。
(近年では祭礼時には人形などを用い、人間はあやめなくなったもよう)
民と共にその身を守り
役割を終えた今は、
美しきオブジェとなり静かにその工芸と文化を伝えています。
2つのギザギザの間に見つけました
かつての使い手の民が刻んだ護符でしょうか、ハート形の精霊が
今もなお宿っています。(pic15)
* ひび割れや補修跡が見られますが、使用と経年の間の古い時代の直し(あるいはひび)かと思います、ひびの箇所には経年のパティナが上に重なって糊の役割を果たしているためでしょうか、触れた程度ではびくともしません。
状態等は画像をご参照くださいませ。(追加でご入用であればお申し付けください)
実店舗へのご来店が可能な方は是非お手に取ってご覧いただけますと幸いです。
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● 山の民の盾 Kalasag / ルソン島 イフガオ族
製作地 フィリピン ルソン島北部山岳地域
イゴロット人=山の民/イフガオ族
19c
南洋材(一木造り)&ラタン
最大部 ± W39.5 D16 H92 cm
Kalasag → 植民地化以前の先住民族が使用していた大きな長方形の木製の盾の名称
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