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大地のフルカリ / サインチフルカリ(東パンジャーブ州)

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- フルカリ - (花の刺繍) と呼ばれる染織布


刺繍技法自体は15-16c頃より始まったとされその後、
古来の素材や技法での用と製作は20c半ば頃まで続いた伝統工芸。
まだ、インドとパキスタンに分断される以前の パンジャーブ地方 の女性たちによる手仕事布となります。

人生の折々の祝い(主には婚礼)の日の為に、
素地となる木綿を育て摘み取り糸を紡ぎ、染め出す段階から作られた被衣(以下ベール)となります。

こちらは、主には具象表現の刺繍がほどこされた
現インド、東パンジャーブ地方(ヒンドゥー教徒が多かった地域)で作られ使われたフルカリ の中でも サインチフルカリ と呼ばれるタイプのベールとなります。

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まずは地布、カダール(=手紡ぎ木綿布)と呼ばれる手紡ぎ手織りの木綿地で、
カダールの 濃い焦げ茶色 は、ヘナや紫檀などの草木から頂いた天然染料を鉄媒染したものかと察しています。
3枚(正確には4枚)を接ぎ合せ、ベールとして纏えるサイズ感に仕立てられています。
中央のカダールだけは両サイドに用いた布よりも細幅(22cmほど、両耳有り)で、丁度中央となるロータス文様の部分で接ぎ合わせ長手方向に長さを出して有ります(画像12枚目)
両サイドには49cmほどの織幅の一枚続きのカダールが。


刺繍の刺し糸には、主に縒りかかっていない艶やかな生糸(平絹)と、
生成り色と一部の黄色に手紡ぎ木綿糸が用いられています。

絹糸は、近隣諸国(カシミール、アフガニスタン、ベンガル、中国など)からと言われています、
5つの川に囲まれた肥沃な穀倉地帯だったパンジャーブ地産の農作物などの大地の実りと市場で交換して入手したそう、
赤(ラックやミロバラン)や黄色(ザクロやウコンかと思われます)などで染められたその糸は、年月を経た今も美しい色彩と艶で輝き続けています。

モチーフの輪郭や全体の装飾モチーフ(小さな三角形の刺し)として使われているのは、
手紡ぎ木綿糸で生成りの色がそこここで平絹の色糸を効果的に引き立てて、そして地色の焦げ茶に冴えています。


モチーフに目を向けてみます。

まずは中央のパネル部分に見える 5つのロータス、
中央のロータスが一番大きな存在、そのほかの4つのロータスは各パートから見守っている感じがします。
(ちなみにロータスは 太陽 を表すそう、こちらは内一つだけ花の種類が変わっていますね、込められた思いはそれぞれの見解で良いかと思います、私は彼女自身ではないかと察しています。)
それから、大きな十字はかの地の娯楽でも有ったゲーム盤でしょうか。
ゲーム盤には、美しい羽色を持つ様々な鳥たちが集い、囀っています。(きっと彼らはまた穀物や果物の種を大地へと還してくれる大切な存在)
その他にもラクダや花の蕾、カエル(かしら?)にも見える邪視避けのような文様、生命樹のようなモチーフも。
4分割されたパネルの中には、小さな三角の刺繍で表された花々が咲き誇り(黄金色の箇所は穂の実った麦畑のようにも)花香鳥語のような情景が、筆で描くように刺繍で縫い表されて。

両サイドのボーダー部分、孔雀の住む森でしょうか(列の中に別の方向を向いてる子を発見。)
森を抜けるとその先には花々の咲き誇る大地が広がっています。

孔雀や花の蕾、邪視除けは抽象的な表現がなされているのも興味深い点、そもそもお国の情勢で勝手に分断されただけで、イスラムとヒンドゥーが共存していた証でしょうか。


各家庭に伝承したと言われる刺繍技法で、一枚として同じものが無いフルカリ。

今回出会った サインチフルカリ は
ランニングステッチ、ダーニングステッチ(モチーフを埋め尽くすように刺す技法)、円形の花モチーフは放射状ステッチを用いて、
まさにひと針ひと針に願いが込められているようで。


東パンジャーブのとある女性が 暮らし=人生 に思い願ったであろう事柄や、眼に映っていたであろう風景が
具象の刺繍を軸として牧歌的に描き出されています。


実際に身に纏った所、(ボディ着用画像ご参照くださいませ)
平面で見た時のそれぞれのモチーフの配置になるほどと唸らされました。

裏を返して表面には現れぬ針目を追い、またもやため息が。
と同時に、木綿や素材が手に入りうる豊かな地であったことも含めてこの布が教えてくれています。


見ているこちらまで幸せな気持ちにさせてくれるような朗らかな刺繍布、
願いと祈りが込められた、パンジャーブの大地が育んだフルカリです。


* 使用や経年による絹糸のスレや小穴、地布の色抜けなどがみられる箇所も有ります。
(かつての持ち主による直しでしょうか、大きな穴 (±10×5cmの楕円) が空いてしまった箇所(全体画像上部の孔雀の隊列のあたり)には、同じような刺繍を施したカダール木綿を充てがう丁寧な直しがなされていました(画像10枚目)。その他数カ所、小穴にも直しの有る箇所が見られます。そちらを含む補修箇所は裏面画像(19枚目)が分かりやすいかと思います。)



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● 大地のフルカリ / サインチフルカリ

東パンジャーブ地方(現インド北部)

19c末から20c初頭頃

± W120 L215 cm

* 材質や染料・技法など詳細は上の見解文をご参照いただけますと幸いです

** 実際のお色味は 濃い焦げ茶色 となります、ボディ着用画像など(1-6,19.20枚目辺り)が現物に近い色味かと思います。

*** 参考文献  インド 大地の布 岩立広子著

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